たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
何か言わなければと慌てて口を開いた。
「美味しいですか?」
私の希望でハンバーガーになったけれど、雅貴さんの味の好みに合っただろうか。
「美味しいよ。ハンバーガーは久しぶりに食べたが、たまにはこういうのもいいな」
彼の返事にホッと胸を撫で下ろす。
「それじゃあ今度の会食はハンバーガーにしましょう」
「それはいいな」
冗談を言うと、雅貴さんがくすっと笑った。
お昼を終えたあとはアウトレット内を見て回ることにした。
「何か欲しいものはあるか?」
様々なブランド店が並ぶエリアを歩きながら、雅貴さんに尋ねられ、私は首を横に振る。
「特にはありません」
物欲というものがあまりないし、ブランド品もそこまで興味があるわけではない。
「でも、もうすぐ母の誕生日なのでプレゼントを買いたいです」
「いつなんだ?」
「来週の金曜日です。毎年プレゼントをしているんですけど、今年はまだ決めてなかったので」
良さそうなものが見つかったら買って送ろう。後日、それを送れば誕生日までには間に合うはず。
「ついでに父と妹にも買おうかな……」
せっかくなのでお土産に何か買って、母のプレゼントと一緒に送ろう。父も妹も自分たちだけ何もないと悲しむかもしれないから。