たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
「さすがに宿泊先にまでは持ってきません。浴衣を着ます」
就航記念セレモニーのときは、客室に寝間着がないため持参したが、今日は温泉宿なので浴衣があるだろうと思って持ってこなかった。
「そうか」
私の言葉に、雅貴さんは微笑んだまま頷いた。
それから少しして夕食の時間になったので部屋を出た。
向かったのは庭園の中にある鉄板料理のお店。
そこでは、目の前でシェフが焼いてくれる和牛のステーキを、ソムリエが厳選したワインと共に堪能した。
夕食を終えて再び部屋に戻ってくると、寒い中を移動したせいかすっかり体が冷えてしまった。
せっかくなので順番に内風呂に入り、体を温めることにした。
最初に入ってもいいと雅貴さんに言われたのでまずは私が入浴する。そのあとで雅貴さんが内風呂に向かった。
再びホカホカになると、一気に眠気が襲ってきた。
座椅子に座りながらぼんやりとしていると、このまま眠ってしまいそうだ。
福岡出張のときはひとつのベッドだったけれど、今夜はクイーンサイズのベッドがふたつある。
同じ空間に雅貴さんが寝ていると思うと緊張するが、今なら眠気もありベッドに入った途端に眠れる気がする。