たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
「恵麻」
うとうとしていると、雅貴さんが戻ってきたようで声を掛けられた。
ハッとなって顔を上げる。
「眠そうだな。そろそろ寝るか」
雅貴さんが私の向かいの座椅子に腰を下ろした。
「はい。もう限界が近いです」
正直に打ち明けると、雅貴さんは「そうか」と呟き苦笑する。
「俺としてはもう少しだけ頑張って起きていてほしかったが……。まぁ、眠いなら仕方ないな」
「すみません」
自分の体力のなさに落ち込む。雅貴さんはまったく疲れた様子がないのに……。
私もジムに通って、体力をつけようかな。
「ベッドまで運ぼうか?」
眠たいせいか、不意に聞こえた声に“お願いします”と答えそうになってハッとなる。
「い、いえ。大丈夫です。自分で歩けるので」
私はさっと立ち上がる。
「雅貴さんはまだ寝ませんか?」
「俺はもう少し起きてる。恵麻はゆっくり休んで」
「はい。では、お先に失礼します」
ぺこりと頭を下げ、洗面室に向かい歯を磨く。
そのあとで再び戻り、雅貴さんにおやすみなさいと声を掛けてからベッドに潜った。