たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
「海外からの招待客が泊まるホテルにバスが来ないそうだ。手配したのは梅本だな」
「はい、私です」
今回の就航記念セレモニーには海外からの招待客も多く、前日に来日した彼らのためにホテルを用意していた。
そこで一泊してもらい、今朝、船が停泊している東京湾の港まで移動してもらう予定で私がバスを手配した。
広報部の霧矢さんが同行しているが報告によると肝心のバスが到着していないらしい。
その連絡が私ではなく成海社長に届いたのは、親しい仲というのもあり緊急の連絡が取りやすかったからかもしれない。
ちらっと腕時計に視線を落とす。バスを手配した時間から十五分が過ぎている。渋滞にでも巻き込まれているのだろうか。
「バス会社に確認の連絡を入れてみます」
今はスマートフォンを持っていないため、一度退室してから秘書の控室になっている客室へと向かう。
すぐにバス会社へ連絡を入れて担当者に事情を話すと、今日の予約は三日前にキャンセルの連絡があったと言われた。
けれど、私はそんな連絡を入れていない。
どういうこと?