たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
それに、今から準備を始めたとしても電車にはもう間に合わない。
それなら今日だけ雅貴さんと一緒に通勤させてもらった方がいいのかもしれない。
明日からは絶対に寝坊しないようにしよう。
心に強く誓い、私は洗面室へと向かった。
メイクを済ませ、いったん部屋に戻り着替えをする。
それから雅貴さんが用意してくれた朝ご飯を食べて、社用車で雅貴さんと一緒に会社へと向かった。
いつもは社長である雅貴さんよりも早く着くように心がけているが、今日は同じ出勤時間になってしまった。
これから急いでメールの確認などをしなければならない。
エレベーターで重役フロアまで上ると、秘書室の前で雅貴さんとは別れる。
「送っていただきありがとうございました。後ほど本日のスケジュールなどの連絡メールを送ります」
「よろしく」
「では、私はここで失礼します」
雅貴さんにぺこりと頭を下げる。すると、ぽんと頭に手を乗せられた。
「今日もよろしくな」
髪をくしゃりと撫でられ、手が離れていく。
顔を上げると、優しく微笑む雅貴さんと目が合った。その瞬間、顔がほんのりと熱くなる。