たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました

「あと、今後のキャリアについてだけれど……」


 雪白室長はそこで言葉を切ると、どこか言いづらそうに口を開く。


「このまま成海社長の秘書を続ける? というよりも、続けていいのかしら。ほら、梅本さんは成海社長の奥様でもあるでしょ。あなたの希望で結婚後も秘書を続けているけれど、成海社長はあなたが仕事を続けることに賛成しているの?」

「はい。結婚後も仕事は続けていいと言われています」

「そう。でも、無理はしないでね。奥様としての仕事もあるはずだから、秘書を続けるのが難しくなったらいつでも言って」

「はい」


 奥様としての仕事?

 今のところそういったことは求められていない。

 お義母さまは会長夫人としていろんな付き合いに参加されているようだし、いずれは私もご一緒するべきなのだろうが、今はまだ必要ないと言われている。


「それにしても、梅本さんが成海社長と結婚ね」


 雪白室長はそう言うと、固かった表情を崩し、口元に笑みを浮かべた。

 一方の私は、彼女から結婚の話を振られ、ひゅんと心臓が縮こまる。


「一緒に秘書をしていた頃、あなたたちにそんな雰囲気はなかったけど、専属秘書になってから急に距離が縮まったのかしら」


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