たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
普段はクールな雪白室長からは想像できないくらい、郁真さんのことを話す彼女の表情はうっとりとしている。
けれど、急に表情を曇らせた。
「だけど、連絡先は聞けなかった。そのことをとても後悔していて……」
雪白室長はそう言うと、まっすぐに私を見つめる。
「頼めるのはもう梅本さんしかいないの。郁真さんの義理の妹であるあなたに、私の連絡先を彼に渡してもらいたいの」
「で、ですが……」
雅貴さんと結婚してから私はまだ一度も郁真さんと会ったことがない。大型船の船長だけあって、一度港を離れるとしばらくは戻ってこないのだろう。
そんな人に連絡先を渡せるかな。
「お願い、梅本さん」
けれど、こんなに懇願されてしまうと断りづらい。
「わかりました」
つい頷いてしまった。
雪白室長の表情がぱぁっと明るくなる。
「ありがとう、梅本さん」
「い、いえ」
雪白室長から彼女の連絡先が書かれたメモ用紙を受け取った。