たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
比べて自分の格好が恥ずかしくなり、ちょうど床に脱ぎっぱなしのまま落ちていたカーディガンを見つけて慌てて羽織る。
「相変わらずの部屋だな」
雅貴さんが私の部屋をぐるりと見渡した。
物が散乱していて、片付いていないと言いたいのだろう。
「恵麻は仕事のことに関しては几帳面なのに、どうして私生活はこうもだらしがないんだろうな」
雅貴さんが不思議そうに呟く。
「どちらが本当の恵麻なのか考えてみたが、たぶんどちらも本当の姿なんだろう」
つまり、どういうこと?
雅貴さんの言いたいことがわからず、何も言葉を返せない。
そんな私を見て、雅貴さんがふっと笑う。
「要するに恵麻は、要領がいいんだ」
「要領、ですか?」
「そうだ。きみは肝心なことを見抜くことができるから、それについては完璧にこなせる。だが、それ以外は手を抜いて、自分を休ませることができる。本当に必要なことだけを要領良くこなせるのが恵麻のいいところなのかもしれないな」
「はぁ……」
思わず気の抜けた返事をしてしまった。
私は自分を要領がいいと思ったことは一度もないので、雅貴さんの言葉にはピンとこない。
ただのズボラなんだけど……。