たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました

「それは……」


 私がブローチを欲しそうに見ていたけれど、買わずに店を出たから。だから、雅貴さんが私のために買って、プレゼントしてくれた。 

 でも、雅貴さんが聞きたいのは、そういうことではないのだと思う。そのときの雅貴さんの気持ちを尋ねられているのだ。

 相手にプレゼントを贈る理由……。

 喜んでもらいたいから?

 じゃあどうして喜んでもらいたいと思うのだろう。

 私はアウトレットで母に誕生日プレゼントを買った。それは毎年母に喜んでもらいたいのと、感謝の気持ちを伝えたいから。

 それじゃあどうしてそう思うのかというと、私は母のことが好きだからだ。

 そこまで考えてハッとなる。

 もしかして雅貴さんも私のことが……。

 いや、ありえない。

 私は彼のことが好きだと今さっき自覚したばかりだけれど、まさか両思いなわけがない。

 頭を横に振り、雅貴さんも私を好きだという自分に都合のいい考えを吹き飛ばした。


「答え、考えといて」


 雅貴さんは立ち上がると、私の頭にぽんと手を置く。そのままくしゃりと撫で、部屋をあとにした。




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