たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました

「恵麻ちゃんだって雅貴と両思いでしょ」


 当然のように言われて胸が詰まる。

 世間一般の夫婦ならそれが当たり前だけれど、私と雅貴さんは違う。

 契約結婚の夫婦に恋愛感情はない。

 でも、そんなことは知らない郁真さんからすれば、私と雅貴さんは両思いということになるのだろう。


「恵麻ちゃん?」


 何も言葉を返さない私を不思議に思ったのか、郁真さんが心配そうな顔で見つめてくる。


「もしかして、雅貴との関係で何か悩んでる?」 


 私の反応でそう察したのだろう。優しい声音で尋ねられ、つい頷いてしまった。

 恋愛を伴わない契約結婚のはずなのに私は彼を好きになってしまった。

 でも、想いを伝えることはできない。伝えてしまったら、この結婚が終わってしまうような気がするから。

 両思いになれなくても、雅貴さんの妻として彼のそばにいられる。それでいいと思っている自分と、彼にも私を好きになってほしいと思う自分がいる。

 恋愛経験が乏しい私には、どうしたらいいのかわからない。


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