たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました

「大丈夫だよ、恵麻ちゃん」


 郁真さんが励ますように私の肩にそっと触れる。


「夫婦関係で悩んでるみたいだけど、雅貴はきっと恵麻ちゃんのこと大好きだから。兄の俺が言うんだから間違いない」


 自信たっぷりに言う郁真さんが信じられず、私はぱちぱちと瞬きを繰り返す。

 雅貴さんが私を大好き?

 信じられない私に郁真さんが言葉を続ける。

 
「食事中、雅貴はずっと恵麻ちゃんを気にかけていたよ。それに、恵麻ちゃんと話をするときの雅貴が見たことないくらい優しい表情をしているから、心の底からきみのことを愛してるんだなって俺は思ったけど」

「そうでしょうか……」


 それは、郁真さんの勘違いだと思う。雅貴さんが私に優しい表情を向ける理由なんてないから。

 疑いの眼差しを向けていると、郁真さんがにこりと微笑む。そして、ちらっとどこかを見たかと思うと、また私に視線を戻した。


「試してみよっか」


 郁真さんはそう言うと、突然私との距離をぐっと詰めた。そのまま顔を近づけてくる。


「い、郁真さん!?」


 息がかかるほどの距離で見つめられ、動揺から私は視線をあちこち泳がせた。

 郁真さんは私の耳元に唇を寄せ、囁くように言う。


「このあとのあいつの行動を見たら、どれだけ愛されてるかわかるかも」

「え?」


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