たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
「梅本さん、お疲れさま」
「お疲れさまです」
私は深く頭を下げる。彼女にもだいぶ迷惑をかけてしまった。
「誰にでもミスはあるわ。次からは気をつけてね」
口元に優しく笑みを浮かべた霧矢さんが意気消沈する私を励ますように声を掛けてくれた。
「本当に申し訳ありませんでした」
再び深く頭を下げると、霧矢さんは優しい表情のまま頷く。そして、海外からの招待客たちのあとを追っていった。
その後ろ姿を見つめながら、自然とため息がこぼれる。
私生活がだらしない自覚はあるけれど、仕事だけは完璧にこなしているつもりだ。
実際、こんなミスは初めてだし……。
そもそも私はバスをキャンセルする連絡はしていない。
けれど、百パーセントあり得ないと自信を持って言えないのは、ここ数日、式典の準備に追われて忙しかったこともあり、うっかりミスをしてしまった可能性もあるから。
モヤモヤは残るが、就航記念セレモニーはこれからだ。気持ちを切り替え、私は再び乗船した。