たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
まさかここまで大きく雅貴さんとの関係が発展するとは思わなかった。
「なるほど。そういうことだったのか」
雅貴さんは納得したように呟き、自身の額にそっと手を当てた。
「やっぱり兄貴には敵わないな」
そう呟いた雅貴さんの表情はとても柔らかい。
これまでは郁真さんの話題が出るたびに彼の纏う空気は冷たくなっていたが、今はそれを感じない。
「今回ばかりは兄貴に感謝だな。おかげで契約結婚を終わらせることができる」
契約結婚の終わり?
不穏な言葉に胸がズキンと音をたてる。
両思いだと結婚は続けられないの?
不安な表情を浮かべる私に雅貴さんが穏やかな瞳を向ける。
「恵麻。俺と本物の夫婦になってくれ。契約結婚はこの瞬間で終了だ」
「えっ」
そういう意味だったんだ。理解した途端に安堵で頬が緩む。そして、大きく頷いた。
「はい。よろしくお願いします」
「こちらこそ」
瞳を細めて柔らかく微笑む雅貴さんと見つめ合う。
彼の手が私の肩にそっと触れた。見惚れてしまうくらい端正な顔が近付き、目を閉じると唇に吸い付くようなキスをされる。
雅貴さんとの二度目のキスはとても甘く、心が蕩けそうになるくらい幸せな気持ちで満たされるのを感じた。