たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
リビングに向かうと、ダイニングテーブルには美味しそうな朝食が並んでいた。
イスに腰を下ろしてから、用意されているのが一人分だというのに気付く。
「雅貴さんはもう食べましたか?」
「ああ。とっくにな」
向かいのイスに座る彼に尋ねると、当たり前だろという顔で頷かれた。
彼は毎日のルーティンを変えない人なので、いつも通り起床し、ランニングに出掛け、そのあとで朝食を取ったのだろう。
「食べたら出るぞ」
「はい」
いただきますと手を合わせてからさっそく食べ始める。
パンに、サラダ、それから目玉焼き。フルーツにはいちごもある。栄養バランスが良さそうな完璧な朝食だ。
ありがたく頂きながら、向いのイスに座り経済誌を読んでいる雅貴さんにふと視線を向ける。
「今朝はすみませんでした。寝坊してしまって」
改めて謝罪の言葉を口にすると、雅貴さんが顔を上げた。
「気にするな。ここ最近の間で恵麻の性格はだいぶ理解したつもりだ。ゆっくり眠れたか」
「はい」
「そうか。それならよかった」
雅貴さんの唇がゆったりと弧を描き、再び雑誌に視線を戻す。
そんな彼を思わず見つめてしまう。