たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
私もここ最近で、彼の印象ががらりと変わった。
一緒に暮らし始めるまでは、雅貴さんのことを感情の起伏が少なく、常に論理的で正確な判断ができるロボットのような人だと思うときがたびたびあった。
けれど今は人間味のある温かな人だということを知っている。
「そうだ、恵麻」
彼の顔がふと持ち上がり、私を見る。
「今夜から俺の部屋で寝ないか」
「え……」
突然の提案に、食べようと思ったパンを手に持ったまま固まった。
雅貴さんの部屋には私の部屋にあるベッドよりも少し大きめのベッドが置かれている。つまり、そのベッドで一緒に寝ようと誘われているのだ。
これまでは偽装夫婦だったので寝室は別々だったが、両思いだとわかった今はそれももう必要ない。むしろ別々で寝ている方が珍しいのかもしれない。
だから、雅貴さんのこの誘いは当然のもの。断る理由はないので「はい」と頷いたが、同じベッドで眠ることを想像した途端に恥ずかしくなった。
やはりキス以上のことをするのかな……。
その瞬間、全身が沸騰したかのよつに熱を持つ。
そんな私に気づいたのかもしれない。雅貴さんがフッと笑う。