たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
「どうして別行動をする必要がある。いいから行くぞ」
雅貴さんが私の右手を取り、足早に店内を進んでいく。
引っ張られるような形になり、少し前を歩く彼の後ろ姿を見ながら、私は先ほどの自分の発言を反省した。
傷つけちゃったかな……。
確かに彼の言う通りだ。せっかく一緒に来たのだから、別々に行動をする必要はない。
チョコレートのイベントも昼食もその他の買い物も、雅貴さんは私と一緒に見たり食べたりするために誘ってくれたというのに、どうしてそれがわからなかったのだろう。
余計なことを言ってしまった。
仕事をしているときの自分は好きだけれど、私生活はポンコツ過ぎて嫌になる。
雅貴さんは、こんな私のどこに惹かれて好きだと言ってくれたのだろう。
私は、彼の仕事に対して一切妥協をしない姿勢と、クールに見えて実は思いやりのある優しい一面に惹かれたけれど、雅貴さんが私を好きになる理由が見つからない。
そんなことを考えながらエスカレーターを昇っていき、チョコレートのイベント会場のあるフロアに到着した。