たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
セミロングの黒髪は後れ毛を出さずにすっきりとひとつに結び、前髪は自然にサイドに流している。この髪型は子供の頃に観たドラマで憧れた女性秘書と同じだ。
服装はとろみのあるブラウスにタイトスカートを着用。来客時はジャケットを羽織るようにしている。
どこからどう見ても今の私は都内で働く素敵な会社員だ。
「おはようございます」
午前八時十分。
最上階の重役専用フロアにある秘書室へ入ると、自分のデスクに腰を下ろす。
上司である社長がいつも八時半に出社するので、それよりも早めに着くよう心がけている。
ノートパソコンを開き、暗証番号を打ち込んで起動させた。
まずは社長宛に届いているメールをチェックし、優先度の高いものから捌いていく。そのあとで今日のスケジュールを確認。
今日は十月の第一週の月曜日。会議の予定が五つも入っているし、ランチミーティングもあるので忙しい一日になりそうだ。
スケジュールや確認したいことを文章にまとめ、社長宛にメッセージを送信した。