たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました

「峰田さんは今日はおひとりですか?」

「いや、家内と来たんだけどね。ひとりでさっさとチョコを見に行ってしまって、僕はこの通り置いてけぼりだ」

「そうなんですね」


 思わずクスッと笑ってしまう。

 当時の峰田さんとの会話から奥様との仲睦まじいエピソードをよく聞いていた。今日もふたりで出かけていると知り、おしどり夫婦が健在でよかった。


「そういえば梅本さん。噂で聞いたが、成海社長と結婚したらしいじゃないか」

「はい。実は、そうなんです」


 照れたように頷くと、峰田さんはにこりと笑い「おめでとう」と祝福の言葉をくれた。


「今日は成海社長と?」

「はい。さっきまで一緒にいたんですけど、仕事の電話が掛かってきたので今は別のところで対応中です」

「そうか。相変わらず忙しい人だなぁ、社長は」


 峰田さんが苦笑する。


「せっかくなら社長にも挨拶したかったが、そろそろ戻ってくるかな」

「どうでしょう。すぐに戻るとは仰っていましたが」


 雅貴さんが歩いて向かった方を見つめるが、彼の姿は見えない。きっと落ち着いて電話のできる場所を見つけて、そこにいるのだろう。


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