たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました



 その夜。

 お風呂を入り終え、部屋着に着替えた私は、百貨店で開催中のイベントで購入したチョコレートの箱をダイニングテーブルに並べてみた。

 この中のどれかをさっそく食べたいが、こんな時間に食べるのはよくないので明日の楽しみに取っておくことにする。

 チョコレートを食べるときを想像して幸せな気持ちになっていたが、ふと思い出してしまう。


『誰か別の人が梅本さんになりきってバスをキャンセルしたんじゃないか』


 ……いったい誰が、どんな目的で?

 峰田さんからそれを聞いてしばらくは頭から離れなかったが、その後でお昼を食べ、買い物をしたりしているうちにいつの間にか頭から抜けていた。

 でも、ふと思い出してしまう。

 もやもやした気持ちのまま並べたチョコレートを紙袋にしまっていると、スマートフォンから着信を知らせる音がした。

 慌ててスマートフォンを手に取ろうとしたが、リビングの中のどこに置いたかを忘れてしまった。

 音を頼りに捜している間に、着信が切れた。けれど、すぐに再び鳴り出す。

 ソファから聞こえているが見つからない。でも、絶対にソファから音が鳴っている。

 どこだろう?


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