たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
ふとクッションを手に取り、持ち上げると、その下にスマートフォンを見つけた。
こんなところに置いてあるなんて。
私のことだからソファに座ってスマートフォンを操作していたけれど、お風呂に入るためいったん置いたのだろう。それがいつの間にかクッションの下敷きになっていたようだ。
着信音はまだ鳴り続けている。画面に表示されているのは知らない番号。
出ない方がいいだろうか。でも、いったん切れてから掛け直してくるくらいなので何か用事があるのかもしれない。
それに、一件だけ心当たりがある。ソファに座り、私はスマートフォンを耳に当てた。
「もしもし」
《あ、もしもし。恵麻ちゃん?》
聞き覚えがある声に名前を呼ばれ、電話の相手が予想通りだったと気付く。
「郁真さんですか」
《そう。急に電話してごめん。番号は雪白さんから教えてもらった》
「はい。伺っています」
ふたりが無事に連絡を取り合えたことは、雪白室長から聞いて知っている。
そのときに郁真さんから私の連絡先を聞かれたので、教えてもいいかと雪白室長から尋ねられたことを思い出した。