たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
裏切り
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「ーーさん、梅本さーん」
名前を呼ばれていることに気付いてハッと顔を上げた。
玉置さんと目が合い、「大丈夫ですか?」と尋ねられ、慌てて笑顔を作る。
「だ、大丈夫だよ」
そう答えて、ランチのそばを食べた。
二月に入っても厳しい寒さが続いている。会社の中は暖かいが、窓から見える外の様子はどんよりと曇り、風も吹いて寒そうだ。
暖かいそばを食べたあとで、くしゅんとくしゃみが出た。ティッシュを取り出して鼻をかむ。
「風邪長引いてますね」
玉置さんが心配そうにこちらを見る。
先週半ばに熱の出ない風邪を引き、鼻水とくしゃみ、そして咳が続いている。花粉のせいかもと思ったが、まだ少し早い気もするのでやはり風邪だろう。
熱もないし、だるくもなく元気なので仕事は休まず、マスクをして出社している。けれど、そんな私を玉置さんは心配なようだ。
「最近ぼーっとしてることが多いし、体調悪いんじゃないですか?」
「ううん、大丈夫」
ぼーっとしてしまうのは風邪のせいではないので心配いらない。
ふとした瞬間に雅貴さんを思い出してしまうのが原因だ。