たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました

 私は雅貴さんに頼まれた資料をシャニック社に送ったはずだ。

 違う資料ーーしかも別会社の重要情報が載った資料を送るはずがない。

 でも、以前も二度ミスをしている。

 予約していたバスのキャンセルと、ランチミーティング用のお弁当のキャンセル。

 だが今回はそれ以上に大きなミスだ。

 身に覚えはないが、間違って違う資料を入れてしまったのだろうか。

 そんなわけないと思いたいが、それを証明できるものがなにもない。

 どうしよう……。

 私が送った資料のせいで、雅貴さん自ら先方へ謝罪に向かった。

 迷惑をかけてしまい、胸がギュッと締め付けられるように苦しくなる。

 でも、違う資料を送ってしまったのなら、本来送るはずだった資料はどこにあるのだろう。

 私は社長室を飛び出し、秘書室へ戻った。

 自分のデスクへ向かい、イスに腰を下ろす。そして、全ての引き出しを確認したが、送るはずだった資料は見当たらない。


「梅本さん?」


 私の様子がおかしいことに気づいたのか、玉置さんがキーボードを打つ手を止めて私を見る。


「何かありましたか? 顔が真っ青ですよ」

 
 玉置さんの声は聞こえる。でも、混乱していて言葉を返せない。


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