たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました

「梅本さん?」


 反応がない私をさらに心配に思ったのか、玉置さんが顔を覗き込んできた。


「大丈夫ですか?」


 この件に玉置さんは関係ない。でも、私ひとりでは抱えきれそうにない。


「どうしよう、玉置さん。郵送ミスをしてしまって、社長から頼まれた資料とは別の資料を送ってしまったの」

「えっ。梅本さんがですか?」

「うん」


 私は小さく頷いた。


「でも、私は社長に頼まれた資料を封筒に入れたはず……」

「それなのに別の会社の重要情報が入ってたんですか?」

「そうみたい」


 郵便物は秘書室にある集配場所に置くと、別の部署の担当者が他の郵便物とまとめて発送してくれるシステムになっている。

 だから今回の問題の郵便物もいつもと同じように、秘書室内にある集配場所に入れた。

 もしかしてそのあとで誰かが私の入れた資料を抜き取って別の資料にすり替えたとか……。

 疑いたくはないけれど、身に覚えがないのだからその可能性が高くなってくる。

 でも、誰が?

 そのときふとランチのときの玉置さんの言葉を思い出した。


『霧矢さんはとても頭が切れる女性です。何か手を使って梅本さんから成海社長を奪おうとするもしれません』


 ……もしかして、霧矢さんが?


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