たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
もっとしっかり整理をしながら詰めればよかったと反省しながら、バッグの中に入っているものを次から次へと取り出して充電器を捜す。
「あった!」
ようやく見つけ出したとき、部屋の扉がコンコンとノックされるのがわかった。
「はい」
充電器を握りしめたまま反射的に返事をしてしまう。
「入るぞ」
聞こえたのは成海社長の声だ。
どうしてここに⁉
ドキッと心臓が跳ねる。
焦る私をよそに扉はゆっくりと開き、成海社長が姿を見せた。
早々にシャワーを浴びて部屋着に着替えた私とは対照的に、成海社長はスーツ姿で髪もきれいにセットされたまま。
「社長。どうなさいましたか」
突然現れた成海社長に動揺し、充電器とスマホを持ったまますくっと立ち上がる。
一方の成海社長はドアノブに手をかけたまま立ち尽くしていた。
そこでようやく私はこの部屋の現状を理解する。
ボストンバッグから充電器を捜し出すため他の荷物を取り出したので、それがカーペットの上に散乱し、あり得ないほど部屋が散らかっている。
ぐるりと部屋を見回した成海社長の視線が私へと移動する。彼の目が大きく見開くのがわかった。