たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
「資料をすり替えるとき、誰にも見られないように急いでいたんだろうな。そのときにこれが取れて封筒の中に入り、気づかずにそのまま郵送された。資料と一緒にネイルチップが入っていたと先方から教えてもらった」
じわじわと追い詰めるように雅貴さんが言葉を続ける。
「郵送前の封筒に入った資料をすり替えられるのはおそらく秘書課の人間にしかできない。彼女たちの中でネイルをしているのは玉置だけだ。専務に確認したら、きみの爪がこのネイルチップと同じ日がよくあると教えてくれた」
そこまで聞き終えたところで玉置さんが俯く。
「そのネイルチップ、お気に入りだったのになくしちゃったから捜してたけど、そんなところにあったんだ」
そう呟き、彼女はクスッと笑った。
「あーあ、バレちゃった。他のふたつは気づかれなかったのになぁ」
「他のって?」
雪白室長が問いかける。玉置さんは顔を上げ、口を開いた。
「就航記念セレモニーのときに予約していたバスのキャンセルと、ランチミーティングのお弁当のキャンセルです」
やっぱりあれは私のミスじゃなかった。でも、まさか玉置さんだったなんて……。
驚きとショックで言葉を失う。
お弁当がキャンセルされていたときは、人数分のランチを用意できるお店を教えてくれて、私を助けてくれたのに。
どうして……。