たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
玉置さんが軽くため息を吐いた。
「今回はさすがに梅本さんのミスのままではいかなかったかぁ。前回のふたつのミスだと梅本さんへのダメージが少なかったから、もう少し大きいミスじゃないといけないと思って資料をすり替えたけど、ちょっと事を大きくし過ぎちゃったなー」
「あなた、自分が何をしたかわかっているの」
雪白室長が声を上げる。
「関係のない会社の重要情報を他社へ送って、うちの会社の信用を落としたのよ」
「そうですか」
「そうですかって……」
まったく反省の色を見せない玉置さんに雪白室長は呆れた様子だ。
「玉置。どうしてこんなことをした」
雅貴さんが静かに問いかける。すると、玉置さんがちらっと私を見た。
「梅本さんが嫌いだからです」
はっきりと彼女は答えた。
その言葉にズキンと胸が痛む。
「美人だし、性格もいいし、仕事もできる。雪白室長にも認められているし、秘書課の同僚たちからも信頼されてる。後輩の私にもいつも親切に仕事を教えてくれる。そんな、何もかも完璧な梅本さんが嫌いだからです」
これまで余裕の表情を浮かべていた玉置さんだが、少しずつ感情が乱れてきたのか声が震え出す。