たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
二日目には下がったものの、起き上がることができず仕事はしばらく休み、ようやく今日出社できた。
その間に玉置さんは仕事を辞めていた。処分の中で最も重いペナルティである懲戒解雇になったらしい。
結局、あれから一度も玉置さんとは話ができなかった。話す機会があったとしても何を言えばいいかわからないけれど……。
「いろいろ大変だったみたいね」
気遣うように霧矢さんが私を見る。
玉置さんの件を言っているのだと思い、私は「はい」と頷き、力無く笑った。
そのあとで表情を引き締め、彼女に向って頭を下げる。
「すみません、霧矢さん。私、あなたを疑ってしまいました」
「え?」
きょとんとした顔を見せる彼女に私は申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
あとから知ったことだが、霧矢さんが広報部の人たちから良く思われていないというのも玉置さんの嘘だった。
むしろ彼女はすごく頼りにされる存在で、皆から愛されているらしい。課長への昇進も彼女の人望の厚さと実力の賜物だろう。
玉置さんは疑いの目が自分に向かないよう、霧矢さんの悪い印象を私に植え付けて、疑うように仕向けたのだと思う。
悪質だなと、雅貴さんは心底呆れた様子だった。