たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
「それで、明日の出港時間と目的地、寄港地は?」
けれど成海社長は自分のスタンスを変えることなく、やはり本来の目的を優先させる。部下のブラジャーになど彼は一切興味がないようだ。
むしろ、その方がありがたいけれど……。
「お待ちください」
成海社長に急かされ、慌ててタブレットを起動させる。そして目的のファイルを開いた。
「クイーンブルーの明日の出港時刻は午後五時。明後日の午前八時に釧路港に入港し、同日の午後五時に出港予定です。その後のスケジュールについては、社長のノートパソコンにメールでお送りします」
「よろしく頼む」
「ちなみにですが、キャプテンはお兄様の郁真さんです」
情報のひとつとして成海社長に伝えたのだが、彼の表情がすっと冷たくなる。
「聞いていないことに答える必要はない。それと、俺の前で兄の話はするな」
ぴしゃりとそう言って、成海社長は背中を向けた。
もしかして、お兄様と仲良くない……?
そういえば、今日のパーティーでもふたりが会話をしている姿は見なかった。
「要件はそれだけだ。今日はゆっくり休め」
静かにそう言い残し、成海社長が部屋を後にする。
その途端、なんだか一気に気が抜けて私はその場に座り込んだ。
見られたくないものを見られてしまい、深いため息をこぼして項垂れる。
成海社長は気にしていないようだったが、私の受けたダメージは大きい。