たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
「専務がこの前ボソッと言ったんです。梅本さんが秘書なら良かったって」
「そうなの?」
「はい。私それ聞いて、チクショーってすごく腹が立って。憧れの梅本さんを絶対に超えてやるってパワーが出ました」
「そっか」
どう答えていいかわからず、とりあえず微笑む。
やっぱり玉置さんはパワフルな人だ。そんな彼女に“憧れ”と言ってもらえたことがとても嬉しい。
そのときふと最近の心配事が頭を過った。
憧れてもらえるのは嬉しいけれど、本当の私を知ったら幻滅されるだろうなぁ……。
職場では業務をそつなくこなし、テキパキとした動きで、社長秘書として完璧に振る舞えているはず。でも、私生活の私はズボラ。
使ったものは元の場所に戻さず放置。だから部屋はいつも散らかっているし、洗濯物は仕事で着る服以外は畳まない。
用事がないときは一日中パジャマで過ごすしメイクもしない。
ラーメンは鍋からそのまま食べるし、スーパーで買った総菜も電子レンジで温めてトレーのまま食べる。
家族と、仲の良い地元の友人たちはこんな私を理解しているけれど、職場の人たちは私の本性がズボラなことを知らないし、絶対に知られたくない。