たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
それなのについ最近、一番知られたくなかった人にズボラな一面を知られてしまった。
成海社長だ。
就航記念セレモニーの夜、私の部屋を訪ねてきた彼に散らかった部屋と着古してよれよれの部屋着姿を見られてしまった。ついでにブラジャーも……。
その後、成海社長と顔を合わせてもその話題にはならないし、そもそも興味がないのだろう。
けれど、ズボラな一面を見られた私はショックだ。できることなら職場の誰にも本性は知られたくはなかった。
そんな悶々とした気持ちを振り切り、秘書室で仕事をしていると内線が鳴った。
成海社長からで、会議室で行われている打ち合わせが終了した連絡だ。
急いでそちらに向かい、グループ会社の社長たちをエントランスまで見送り、会議室のプロジェクターを片付けた。
そのあとで社長室へ向かう。先ほど玉置さんに頼まれた専務との件について成海社長に確認を取るためだ。
スケジュールの変更について普段はメールで済ませているけれど、明日の予定変更で急ぎのため口頭で行うことにした。
「失礼します。梅本です」
扉をノックしてから入室すると、成海社長は執務デスクで書類に目を通していた。その視線が持ち上がり、スッとした切れ長の目が私を捉える。