たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました

「他に頼める方はいらっしゃらないのですか。たとえば、広報部の霧矢さんはどうでしょう。社長とは大学時代の同級生のようですし」


 恋人ではないようだが、彼女なら成海社長の隣に立っても遜色ない。仲の良さから実はふたりは付き合っているのではと社内で噂になるくらいだ。


「いや、霧矢には頼みづらい。勘違いされても困るからな」

「勘違いですか?」


 どういう意味だろう。

 気になるけれど成海社長は答えてくれず、コホンと咳払いをした。


「招待客は日本人もいるが、ほとんどは海外出身者だ。が、まぁ梅本は外国語も堪能だから問題ないだろう」


 確かに私は日本語の他に英語、中国語、フランス語が話せる。英語は中学の頃から猛勉強し、アメリカに留学経験もあるから得意。中国語は大学の頃の第二外国語で学んだし、フランス語は社会人になってから独学で習得した。

 言語に関して不安はないが……。


「私に務まるでしょうか」


 不安を吐露する私に成海社長が答える。


「務まらない相手に俺はこんなことを頼まない」


 成海社長はそう言うとまっすぐに私を見据えた。

 まるでこれから大事な商談をするかのような鋭い眼差しに射止められ、彼から目が離せない。


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