たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました

「いえいえ、こちらこそお世話になりました。成海社長のおかげで数字が伸びましたよ」

「そうですか」


 そう答える成海社長からはいつにない素っ気なさを感じる。

 本当に知り合いなのかな……。


「ところで、パートナー同伴のパーティーで、女性がひとりになった途端に声を掛けるのは少々礼儀に欠けるのでは?」


 素っ気なさに鋭さが加わった成海社長の話し方は少しこわい。

 そこでようやく私は、彼が目の前の男性に敵意を向けているのだと気付いた。

 それでも男性は少しも態度を変えない。


「ですね。すみません」


 へらへらと笑って謝罪の言葉を口にする彼に、成海社長はとうとうため息を吐いた。

 すると、男性もこの場の冷えた雰囲気を察したらしい。


「じゃ、失礼します」


 ペコっと頭を下げて、彼はこの場を去っていった。

 私はすっと移動し、成海社長の隣に立つ。

 去っていく男性の背中を見つめながら静かに佇む彼からは殺気のようなものを感じた。


「先ほどの方はどなたなのでしょうか」


 恐る恐る尋ねると、成海社長がボソッと答える。 


「週刊誌の記者だ」

「えっ」


 驚きはしたものの、少ししてから納得できた。

 確かに、あのぐいぐいと質問してくる感じは記者っぽかった。

 でも、なぜ週刊誌の記者がここに?


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