たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました

 日本を代表するグローバル企業の御曹司である彼は経済界問わず有名人で、メディアへの露出も多い。

 話題になるのは高い経営手腕についてがほとんどだが、たまに私生活についても注目され、過去には人気女優との熱愛が週刊誌で報じられたこともあった。

 どうやらその記事を書いたのがあの記者のようだ。

 先ほどの『その節はどうも』と言う成海社長の言葉にはどうやら嫌味が込められていたらしい。

 それにしても、彼が週刊誌の記者と知らなかったとはいえ、質問に答えたのはよくなかっただろうか。


「すみません」


 謝罪の言葉を口にすると、成海社長が首を横に振る。


「いや、いい。この場にきみをひとりにした俺が悪かった」


 そう言うと、彼の視線が私の持っているお皿に向かう。


「食事がまだのようだな。何か取りに行こう。俺も空腹だ」


 歩き出す成海社長のあとを追いかける。

 恋人役としてゲストへの挨拶回りや、成海社長の敵である週刊誌記者の登場。

 なんだかどっと疲れてしまった。とりあえず美味しい料理を食べて疲労を癒やすことにする。


< 41 / 116 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop