たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
まさかいまだに地元に戻ってきてほしいと思っているとは思わなかった。
「それじゃあまた詳しいことが決まったら連絡してね」
「あ、お母さーー」
「あ、そうそう! 社長さんはお忙しいだろうから、わざわざ挨拶にこっちまで帰ってこなくていいからね。必要なら私たちがそっちに行くから。それじゃあね。お母さん、これからご近所のお友達とランチだから」
「えっ、ちょっと待っーー」
プツンと通話が切れた。
ずっと母が一方的に話していた気がする。
ネットニュースの情報だけを信じて、娘の私に確認を取らないところはマイペースな母らしい。良い意味でおおらか、悪い意味でおおざっぱな人だ。
まぁ、そんな母と私は性格が似ているとよく言われるのだけれど……。
でも、今思えば結婚について否定しなくてよかったのかもしれない。
もしも結婚が嘘の情報だとわかったら、私は父が決めた相手とお見合いをさせられるところだった。そして、地元に連れ戻されてしまう。
それだけは嫌だ。
私はここでまだまた秘書の仕事を続けたい。
けれど、成海社長との結婚は嘘なのだから、いつかは両親に真実を伝えないといけない。
成海社長と本当に結婚できたら……。