たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
そうしたら私はお見合いもせず、地元に戻らなくてもよくなり、秘書の仕事を続けられる。
「なんて、あり得ないよね」
私が成海社長と結婚するなんて恐れ多い。一瞬でも、本当に結婚できたらと考えた自分が恥ずかしくなった。
お昼休憩を終えてオフィスに戻る途中、気のせいかもしれないが社員たちの視線が気になった。
もしかしてネットニュースを見たのでは……。
ひやひやしながら秘書室へ戻ると、そこでも数人の同僚が私に対して微妙な反応をしてくる。
チラッと視線を向けては、話しかけたいけど話しかけられないという様子が伝わってきた。
なんだか居心地が悪いが、唯一の救いはさっきまで一緒にランチを取っていた玉置さんは、おそらくネットニュースを見ていないということ。
「あー。また専務に呼ばれた」
内線を切り、そうボヤく彼女の様子はいつも通りだ。
もしも今、玉置さんにまで微妙な距離を置かれたら心が折れる。
そういえば、慌てていたから見ていないけれど、ネットニュースにはどんな風に成海社長とのことが書かれているのだろう。