たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
「ーーさん。梅本さん!」
真っ暗なままのパソコン画面を見つめながらそんなことを考えていると、突然玉置さんに呼ばれた。
ハッと顔を上げる。玉置さんの視線が私のデスクの上の電話に向かった。
「さっきから鳴ってますよ」
「えっ、あ、ごめん」
ぼーっと考え事をしていたせいで気付かなかった。どうやら内線のようだ。慌てて受話器を取る。
「はい。秘書室、梅本です」
「休憩からは戻ったか」
この低い声は成海社長だ。
ネットニュースのこともあり、ドキッと心臓が跳ねる。けれど、平常心だ。
「はい。今戻ったところです」
「それなら今すぐ社長室に来てほしい。話がある」
「承知いたしました」
そこで内線は切れた。
受話器を置きながら、成海社長の話とはやはりネットニュースの件だろうと予想する。
どうやら彼も目にしたようだ。それか、誰かから聞いたのだろうか。
とりあえず社長室へ向かわないと。
イスからさっと立ち上がり、秘書室を後にした。
フロアの一番端にある社長室へ向かい、扉の前で立ち止まる。
「梅本です」
ノックをしながら言うと、すぐに成海社長の「どうぞ」という声が聞こえた。