たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました

 悪意のある記事ではないが、一般人の私がこんな形で世間の目にさらされることになるとは思ってもみなかった。

 自分のことなのにどこか他人事のようにも感じる。

 すると、広報部長が口を開いた。


「成海社長は経済界では有名な方ですし、加えてこのルックスですからね。各メディアからの取材依頼も多く、顔が知られています。かつ、過去に人気女優との熱愛報道が出たこともあり、それでさらに知名度が上がりましたから」

「それはまったくのデタラメだったがな」


 成海社長がぼやく。

 当時の彼は副社長で、入社二年目の私はまだ秘書として誰にも付いておらず補助的な仕事をしていた。

 あのとき成海社長の秘書をしていた雪白室長からは、対応がとても大変だったと聞いている。

 成海社長は、その女優とは共通の友人の誕生日会で初めて顔を合わせたそうだ。たまたま帰りが一緒になり、そこを撮られてしまったらしい。

 編集者から事実確認の連絡がきたものの、解答するときにはすでに雑誌は刷られており、発売日には店頭に並んだそうだ。 

 フェイク記事をあたかも信憑性があるように書かれ、成海社長は怒り心頭だったらしい。


< 48 / 116 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop