たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
記事について否定をする機会がなかったので、今も成海社長は相手女優の元カレと世間に認識されている。それもあり、今回の記事の見出しで成海社長は、大企業の御曹司と紹介されていたが、同時に女優の元恋人社長とも書かれていた。
そのとき対応したのも今この場に同席している広報部長だった。当時の記事を思い出して不機嫌オーラを出す成海社長に広報部長が苦笑する。
「まぁ、成海社長は経済界からもいつ、誰と結婚をするのか注目されていましたし、先日のパーティーで梅本さんという恋人を同伴したことが参加者たちの間ではちょっとした話題にはなっていたようですよ。なので、この記事ほどの影響はないにしろ、成海社長と梅本さんの関係が知られるのは時間の問題だったかと」
「あの、その件ですが実はーー」
「恵麻」
私と成海社長は実際には付き合ってはおらず、恋人役としてパーティーに参加したことを正直に広報部長に打ち明けようとしたが、成海社長に遮られてしまった。
しかも名前呼びで……。
もしかして言わない方がいいのだろうか。「なんでもありません」と、私は口を閉じる。