たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
成海社長はソファの背もたれに軽く寄りかかり、腕を組んだ。
「過去の記事も今回のも、書いたのはあの男だ」
その言葉にピンとくる。
「先日のパーティーでお会いした記者の方でしょうか」
「ああ」
成海社長は静かに頷き、じっと私を見つめた。
「迷惑をかけてすまないな、恵麻」
「えっ……」
また名前呼び?
不思議に思っていると、背もたれから背中を離した成海社長が隣に座る広報部長に視線を移した。
「ここからはふたりで話をしてもいいか」
「承知いたしました。では、私は失礼いたします」
広報部長が席を立つ。
テーブルの上の週刊誌を手に取り、深く一礼すると社長室を後にした。
成海社長がふぅと小さく息を吐く。
「俺が恋人役を頼んだせいで、梅本に迷惑をかけて申し訳なかった」
両手を膝に置き、成海社長がすっと頭を下げた。
「成海社長! お顔を上げてください」
突然の謝罪に慌ててしまう。
「私こそ、記者の方とは知らずに聞かれたことに全て答えてしまって申し訳ありませんでした」
そのときの答えも記事になっていた。
成海社長がすっと顔を上げる。
「いや、梅本のせいじゃない。気にするな」