たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
パートナー必須のパーティーに成海社長から恋人役を頼まれて参加した。あの日限りのことだったのに、まさかここまで大事になるとは思わなかった。
「今回の記事のやっかいなところは完全にフェイクだと言い切れないところだ。実際、俺たちは恋人としてパーティーに参加したわけだから」
「そうですね」
たった一日の恋人役だったのに、週刊誌に掲載されたことで大きく広まり、ややこしいことになっている。
「そこで提案なんだが」
成海社長が静かに口を開く。
「本当に俺と結婚しないか」
「へ!?」
突然のことに思わず間抜けな声が出てしまった。
け、結婚って……。
「どういう意味ですか」
「言葉通りだ。結婚しようと言っている」
動揺から固まる私の一方で、成海社長はソファに深く座り直すと、背もたれに背を預けた。
「最近、父から結婚を急かされるようになった。だが、俺は結婚にあまり興味がない。にもかかわらず、父が次々と縁談を持ってきて困っている」
成海社長が深くため息をこぼす。
お父様が成海社長に結婚を迫っているのは、おそらく彼が成海商船の跡取りだからだろう。