たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
無事に両家の許可をもらい、婚姻届を提出。そして、先週の土曜日に私は成海社長のマンションに引っ越した。
都内の高級住宅街にあるタワーマンション。その上層階にある3LDKの部屋が成海社長の自宅だ。
広々としたリビングダイニングには最低限の家具しか置かれていないため、よく言えばすっきりとしているし、悪く言えば殺風景。けれど、成海社長らしい部屋だと思った。
その他、八畳ほどの部屋が三つあり、その一室を私室として使わせてもらっているが、先週の土曜日に越してきたばかりなので荷解きがまだ終わらず部屋は荒れている。
まぁ、片付けたところで私はすぐに部屋を散らかしてしまうのだけれど……。
二十分ほど経ったところでようやくベットから出た。
床に散乱している服やペットボトル、荷物の入った段ボールなどを器用に避けながら扉へと向かう。
開けるのが面倒でカーテンは閉めたままの薄暗い部屋から廊下に出た。
「わっ…!」
扉を開けた途端、目の前に人が現れた。
艶のある黒髪をきれいにセットし、ネイビーのスリーピーススーツをぴしっと着こなすのはこの家の主である成海社長だ。
早々に支度を終え、これから仕事に向かうのだろう。