たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
主催者は成海社長なので、会場となる会議室の確保やセッティング、ランチで提供するお弁当の手配などは秘書である私の仕事だ。
秘書課内のミーティングを終え、午前中は事務仕事を進めていく。
午前十一時を過ぎた頃、手配していたお弁当が届いていないことに気付いた。
いつも同じ店で頼んでいて、だいたいこの時間には到着しているのだけれど。
念のため受付に内線を入れ確認をしたが、やはり届いていないようだ。
それから十五分ほど待ったがやはりお弁当が届かない。どうしたのだろうと心配になり、手配している店に電話をかけたところ、キャンセルされていると言われた。
もちろん私はそんなことはしていない。けれど、またうっかりミスをしてしまったのだろうか。
ふと就航記念セレモニーのときを思い出す。
「梅本さん。大丈夫ですか?」
受話器を持ったまましばらく呆然としていると、隣の席の玉置さんに声を掛けられた。
ハッと我に返り、手に持っている受話器を戻す。
「何かありましたか?」
再び尋ねられ、私は玉置さんに視線を向けた。
「それが、十二時からのランチミーティングのために頼んでおいたお弁当がキャンセルされてるみたいで」