たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
今の時刻は午前十一時十五分。あと四十五分で人数分のお弁当を調達できるだろうか。
ミスに落ち込んでいる場合ではなく、今は解決策を考えないと。
「ここから一番近いスーパーってどこだろう」
十六個も買えるかはわからないが、足りなければ他のスーパーをはしごして買ってくるしかない。
スマートフォンで近くのスーパーを調べていると、「あ!」と玉置さんが声を上げた。
「私、いいお店知ってます」
「本当!?」
「はい」
玉置さんがにっこりと微笑む。
「ここから五分くらいの場所に新しいパン屋ができたんですけど、そこのランチボックスはどうですか?」
「パン屋?」
「はい。前に専務が食べたいって言うので買いに行かされたんです。ついでに自分のも買って食べたんですけど、美味しかったですよ。確かメインはカツサンドで、サイドに野菜と卵料理が添えられていました。ボリュームあるしおすすめです」
玉置さんがグッと親指をたてる。
確かにいいかもしれない。もともと注文していたのは、黒毛和牛のすき焼きとたくさんのおかずが入った幕の内弁当。