たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
毎月だいたい同じようなお弁当で、メインをパンにしたことはない。けれど、たまにはいいかもしれない。というよりも、今は選んでいる場合ではない。
「でも、今から十六人分も用意できるかな」
「電話で聞いてみましょう」
玉置さんが受話器を手に取る。スマートフォンでお店の電話番号を調べてから掛けてみるとすぐに繋がった。そして、ランチボックスの確認をしてくれる。
祈る気持ちで玉置さんを見ていると、彼女がこちらを向いてにこっと微笑み、グッと親指を立てた。
もしかして用意できるのだろうか。
通話を終えた玉置さんが受話器を戻す。
「店内に十六個分あるそうなので、取り置いてくれるみたいです」
「よかった〜。ありがとう。今から買いに行くから、お店の場所を教えて」
ここから五分なら十二時からのランチミーティングには間に合う。
私は急いでイスから立ち上がる。すると、玉置さんも立ち上がった。
「私も一緒に行きますよ。案内しますし、梅本さんだけで十六個のランチボックスは持てないと思うので手伝います」
「でも、玉置さんの仕事は?」
ありがたい申し出だが、彼女には彼女の仕事がある。