たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました

 ミーティングを終えて自分の部署のオフィスに戻る社員たちから声を掛けられ、今日のランチも美味しかったと言ってもらえたのでホッとした。

 会議室へ入ると空の容器を回収し、デスクとイスを元の位置に戻す。

 その途中で、誰かが入ってくるのがわかった。


「梅本」


 この声は成海社長だ。

 片付けの手を止めて振り返る。


「社長。お疲れさまです」

「お疲れ」


 成海社長は腕を組み、壁に軽くよりかかる。


「今日のミーティングのランチはいつもと違ったな。同じ店で頼まなかったのか」


 やはりそこを突っ込まれると思った。

 他の社員さんたちのように『美味しかった』という感想だけで終わらないのが成海社長だ。

 ミスを隠すつもりはないので正直に打ち明ける。


「申し訳ありません。注文していたお弁当がキャンセルになっていることにランチミーティングの一時間ほど前に気づき、急きょ別の店のランチを用意しました」

「キャンセル?」


 成海社長の目つきが変わる。


「どういうことだ」


 突き刺さりそうな鋭い眼差しに見つめられ、萎縮しながらも説明をする。


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