たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました

 その夜、帰宅した私はキッチンで水を飲み、自分の部屋に向かう力が残っておらず、仕事着のままリビングルームのソファに寝転がった。

 ひとり暮らしの頃はよくこうしてベッドに転がっていたが、今は成海社長と一緒に住んでいる。

 こんな姿を見せるわけにはいかないので、本当なら今すぐにでも自分の部屋に戻るべきだ。

 でも、力が出ない。


「疲れたぁ〜」


 もうミスは許されないのだと、どの業務も普段よりも神経を使ったせいで疲労も倍以上はある。

 このまま寝てしまいたいほどだ。

 今日は金曜日で明日は休みなのだから、ひとり暮らしの頃ならきっとそうしてる。

 でも、ここへは成海社長が帰ってくる。

 今夜は会食があるので帰宅はもう少し遅くなるはずだが、そのときまだ私がソファでだらしなく寝ていたら成海社長の昼間の怒りが復活するかもしれない。

 だから起き上がって自分の部屋に戻らないといけない。でも、体が動かない。

 あと五分だけ、ここで休憩したら自分の部屋に戻ろう。

 けれど、いつの間にか私は目を閉じて眠ってしまっていた。

 どのくらいそうしていただろう。ふと、扉が開く音が聞こえたかと思うと、すぐ近くに人の気配がした。


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