たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
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意識が浮上し、ゆっくりと目を開けた俺は思わずため息を吐き出した。
「嫌な夢だ」
何かと兄と比べていた子供の頃の夢を見ることがよくある。
疲れが溜まっていたり、まともに睡眠が取れていなかったりする日に見ることが多く、俺にとっては悪夢のようなものだ。
体にまとわりつくような嫌な感覚を取り払うようにベッドから起き上がり、洗面所へ向かうと顔を洗う。
時刻は朝の五時。
着替えを済ませると日課のランニングへ向かった。
平日ならば決まったパン屋で朝食を買うが、土曜日である今日はオープンが遅いためランニングだけをして帰宅する。
コーヒーと共に朝食を取ったあとはニュースに目を通す。そのあとでパソコンを開くと仕事の連絡が入っていたので返信をした。
腕に付けている時計は午前八時半を表示している。そろそろジムへ行くので、そのための用意をし、家を出ようと玄関へ向かった。
そこでふと二週間前から一緒に暮らしている存在を思い出す。
梅本恵麻ーー改め、今は成海恵麻。
今年から俺の専属秘書になった女性で、つい先日結婚をした俺の妻だ。
彼女はまだ寝ているようで、部屋からは物音がしない。
そんな梅本を残して俺は家を出た。