たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
床に投げ捨てられた服、まだ少し中身が入っているペットボトル、お菓子の袋……。
ごちゃっと色んな物が散乱する部屋は、就航記念セレモニーの夜に見た部屋の光景と似ている。
梅本はどうやら片付けが苦手らしい。
仕事中のしっかりとした優秀な秘書である彼女からは想像ができない一面に驚くも、誰しも苦手なことはある。
ふとデスクの上に置かれているノートパソコンが目に入った。
電源はついたままで、画面には資料らしきものが表示されている。おそらく俺が昨日急ぎで頼んだ会議用の資料だ。
昨夜、作っていたのだろう。修整が必要ないくらに、グラフまで全てこちらの要望通りに完成している。
仕事は完璧にこなせるのに、梅本は私生活になるとだらしがない。
一緒に暮らしてみてそれがよくわかった。
散らかった部屋に、着古した服。使った食器はすぐに洗わず放置するし、この前はインスタントラーメンを調理に使った鍋のまま食べていたのには驚いた。
そのとき、ベッドの上で梅本が動いた気がした。
やっと起きるかと思ったが、再び寝息が聞こえてくる。まだまだ寝るようだ。
けれど、さすがに起こした方がいいだろう。