たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました

「まずは玉ねぎを半分に切って、繊維に沿ってこうやって切っていく」


 手慣れた作業なので、素早く切っていくと、隣の梅本から「おお……」という感嘆の声が聞こえた。


「すごいですね、成海社長。お上手です」


 ……これくらいで驚かれても。

 おそらく梅本は俺に対して料理をしない、もしくはできないといったイメージを持っていたのだろう。


「同じように切れるか?」

「やってみます」


 気合を入れて梅本が包丁を持つ。けれど、ぎこちないので不安だ。

 恐る恐るといった感じでは玉ねぎに包丁を入れていく。

 ゆっくりだが、なかなか上手い。もともと何をやらせても優秀なので、料理だってやろうと思えばできるはずだ。


「できました」


 自分でやるよりも時間はかかったが、玉ねぎはしっかりと均等に薄切りされている。


「その調子でこのウインナーも切ってくれ」

「承知いたしました」


 まるで仕事中のような畏まった返事に思わず笑ってしまう。
 
 梅本がウインナーを切っている間に沸騰したお湯にパスタを入れて茹でる。


「できました」


 ウインナーもきれいに切れていた。

 そのあとは食材を炒めていく。これも梅本にやらせてみる。


< 80 / 235 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop