たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
「まずは玉ねぎを半分に切って、繊維に沿ってこうやって切っていく」
手慣れた作業なので、素早く切っていくと、隣の梅本から「おお……」という感嘆の声が聞こえた。
「すごいですね、成海社長。お上手です」
……これくらいで驚かれても。
おそらく梅本は俺に対して料理をしない、もしくはできないといったイメージを持っていたのだろう。
「同じように切れるか?」
「やってみます」
気合を入れて梅本が包丁を持つ。けれど、ぎこちないので不安だ。
恐る恐るといった感じでは玉ねぎに包丁を入れていく。
ゆっくりだが、なかなか上手い。もともと何をやらせても優秀なので、料理だってやろうと思えばできるはずだ。
「できました」
自分でやるよりも時間はかかったが、玉ねぎはしっかりと均等に薄切りされている。
「その調子でこのウインナーも切ってくれ」
「承知いたしました」
まるで仕事中のような畏まった返事に思わず笑ってしまう。
梅本がウインナーを切っている間に沸騰したお湯にパスタを入れて茹でる。
「できました」
ウインナーもきれいに切れていた。
そのあとは食材を炒めていく。これも梅本にやらせてみる。