たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
俺には到底理解できない行為だが、目くじらを立てようとは思わない。
俺は麦茶を口に含んでから、改めて彼女を見た。
「いいんじゃないか、別に。人には向き不向きがある。それに、女性だから家事や料理が得意でないといけないという決まりはない」
そういう考えはもう古いし、今もそんな考えを持つ人がいるなら俺は軽蔑する。
「梅本は仕事ができるんだ。過去の秘書の中でもきみは優秀だから、安心して仕事を任せられる。これからもよろしく頼む」
そう言うと、パスタを食べていた梅本の視線が俺に向かう。
慌てたようにもぐもぐと咀嚼してから、ごくんと飲み込んだ。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
ぱぁっと華やかな笑顔を見せる梅本を思わず見つめてしまう。
そんな自分に気づいて、慌てて視線を逸らした。
柄になく心が動いた気がして、それを誤魔化すように食事を再開させた。